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ゆうゆうタイム

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2018自主上映「沖縄スパイ戦史」

先週末に私の所属する、自主上映の映画の会で沖縄の映画を上映した。
私は沖縄の「戦争マラリア」については知っていた。
だが終戦時の沖縄で陸軍中野学校の「秘密戦」が行われ、
北部では島民を巻き込んですさまじい「裏の戦争」が
続いていたことを この映画で初めて知った。
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その作戦に動員されたのは、まだ10代半ばの少年たち。
銃を持ち、故郷の山にこもって米兵たちを翻弄した。
その彼らを「護郷隊(ごきょうたい)」として組織し、
そのスキルを持ち込んだのは、日本軍の特務機関、陸軍中野学校
出身のエリート青年将校だった。

こういうテーマの映画だから観客は少ないだろうと予想していたが、
なんと、予想以上の観客が次々と来場。
狭い研修室で 椅子を足しても、足してもまだ足りなかった。
初回上映の入場者だけで 100人を超えた。
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映画には私の知らないことも多く、一瞬も見逃すまいと映像に見入った。
監督は女性二人、「標的の村」や「標的の島」などで、沖縄の
現代の闘いを描き続ける三上智恵さん、そして学生時代から
八重山諸島の戦争被害の取材を続けてきた若き俊英、大矢英代さん。

沖縄の人たちが口をつぐみたい最も深い闇を こうして
映画にしてくれたこと、
みんなに広くこの事実を知らせてくれたことを、
本当にこころから感謝したい。

戦争末期の沖縄の人々は 同じ村に住みながら
互いにスパイとして告発し 殺し合う地獄もあったという。
それはすべて 陸軍中野学校の諜報活動の一端だった。

謀略で人心を惑わせ 互いの憎しみをたぎらせることもあり、
スパイの容疑をかけられて 多くの人が処刑された。
スパイ教育を少年たちに徹底し、米軍の捕虜になってさえ
収容所内でもさまざまなやり方で 攻撃かく乱した。 
また軍の秘密基地で労働させた少女まで スパイとして処刑しようとした。

すべて日本の軍隊の目的「国体護持」のため。
兵隊は、決して人々を守らない。
国を守るという名目で なんでもする。
殺人、虐殺、マラリアの島に 軍刀で脅しながら強制移住させる。
人の命をどう思っているのだろう・・・

1944年、アメリカ軍上陸が予想される沖縄に 陸軍中野学校卒業生が
大量に配置されたが、波照間島にも正体不明の山下(偽名)がやってきた。
最初こそ物腰穏やかで子供たちにも親切だったというが、
その正体を現したのは沖縄戦が 始まったときのこと。

突如、平服から軍服姿になった山下は、島民を集めると
「日本軍の命令だ!」と、島民を波照間島から西表島に
強制移住するように指示を出した。

しかし、西表は当時マラリアの発生地域として恐れられていた島。
移住に反対する人がいれば、刀を抜いた。
恐怖の中、ジャングル生活で食べものもなく川の水を飲む生活・・・

波照間島の住民1590人のうち、1587人がマラリアに感染し、
477人が死亡した、これが「戦争マラリア」と呼ばれる事件だ。

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沖縄の悲劇の生存者たち、その苦難の刻まれた顔を見て 
その証言を聞きながら 怒りとかなしみがこみあげて 
何度も涙が流れた。 

よくぞこの困難を乗り越えて 生きていて下さった。
そして、証言して下さった。
ありがとう・・・
映画を撮った ふたりの女性監督、ありがとう。

映画は、これだけでは終わらない。
まさに今、万世諸島で進められている自衛隊増強とミサイル基地配備、
さらに旧日本軍の残滓をはらんだままの「自衛隊法」のなかの
「野外令」「特定秘密保持法」の危険性を 鋭く糾弾している。


この映画を軽んじてはならない。
「これが、戦争だ!」
若松孝二監督も「キャタピラー」の上映会で言った、
「これが戦争だ!」と。

戦争になれば こういうことが再び繰り返される。
私の身にも、あなたの身にも。
それは 逃れようのない事実、真実。

こういう映画を上映できて よかったと思う。
たくさんの方々に見ていただいたことを 深く感謝している。
by yuko8739 | 2018-11-20 10:11 | 映画 | Trackback | Comments(0)