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ゆうゆうタイム

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「1Q84年」を読みはじめて

昨年春、私は今までどうしても苦手で 読み進められなかった
村上春樹の最高傑作と称される「ねじまき鳥クロニクル」を読んで
一気にひき込まれた。

物語のおもしろさ、予想を覆すさまざまな仕掛け、
以前はあんなに 嫌だったのに・・・
この作家は深層心理のなかのできごとを 物語っているのだと
わかってから、彼の本が好きになり次々と読み進んだ。

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
「海辺のカフカ」
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」
短編も読んだが、彼の魅力はやはり長編にあると思う。

「海辺のカフカ」のHPが一冊の本になったと聞いて、
中古本を購入したが これはとてもおもしろかった!
厚い本だが 読者のメールにときにはユーモアたっぷりに
だが真摯に 誠実に作者は応えていた。

なんだか、ハルキストになりかけたが、他の本も読んでいた。
今年になって初夏に、G・オーウェルの「一九八四年」を読んで
衝撃を受けた。

全体主義の恐怖というものを深く味わうためには この本以上の
書物はないと思う。
長い間、この本の恐怖と不安から 私は離れられなかった。

そしてふと思った。
村上春樹も書いている、「1Q84年」という小説を。
これは G・オーウェルへのオマージュだろうか・・・
そういうことなら読んでみなくては!と思って 中古の文庫本6冊を購入。

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この本には ちょっとした思い出がある。
数年前の真冬に、洞爺湖温泉のホテルで夜に取材の仕事があった。
早目に着いたので ホテルのロビーの書棚に「1Q84年」という
本があったので 何気なく手に取り 読みはじめた。
その頃は まだ村上春樹は苦手だった。

青豆という変わった名前の女性が タクシーから降りてゆく
冒頭からひき込まれたが 仕事が始まる時間になった。
残念ながらタイムアップ!この先を読みたいなあと思いながら本を戻した。
またいつか この本に出会うのかもしれないと思った。

今、その本を読む就寝前の時間が 至福の時間。
今は5冊目を読んでいるが、読み終わるのが惜しい。
だが、どうなる?どうする?と どんどん目が先走ってしまう。

本が 私を特別な「1Q84年」に、
月がふたつ夜空に浮かぶ世界に 連れて行く・・・

確かに村上春樹の本は 自己陶酔的かもしれないし
男女差別意識も感じないわけではない。
やっぱり究極的には「男の成長物語」なのだ。

そしていくら深層心理の物語だとしても セックスや暴力の描写も。
ときとして 顔を背けたくなるほどに。
でも、そういうものが 私のなかにないのか?と問えば 
どこかに・・・そういうものが潜んでいないとはいえない。

それをそのように描かなくては 彼は真実に近づけないのだろう。
自由になれないのかもしれない。
書くことで、作者は最高のエクスタシーを感じているのかもしれない。

この本は基本的には「boy meets girl」のお話し。
果たして運命の人に 青豆は生きて出会えるのだろうか・・・

リトル・ピープルのいる世界は こわい。
私はずっと ふたつの月が浮かぶ世界で どきどきしている。
by yuko8739 | 2018-11-02 23:45 | 読書 | Trackback | Comments(0)