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河合隼雄さんと再び出会う2

その後は、さまざまな他者との出会いを鏡にして、
あるがままの自分を自分自身で 受け入れられるようになったと思う。
それまでは 困難だったことだが・・・

ワークショップで出会った言葉の数々。
「他者は自分を映す鏡」
「人=自分以外の人=がいなければ、自分にも成れない」。
「人生に無駄なことなどない」
そのときはよくわからなかったそんな言葉の数々が、
今では 私の信条になった。


今回の「100分de名著 河合隼雄スペシャル」は、
講師は河合隼雄氏の子息で 同じくユング心理学者の河合俊雄さん。
俊雄さんは眼が大きく整った顔立ちで 鋭い印象を受けた。

父の存命中は、父と息子はなにかと確執もあったに違いない。
同じ道を行く父と息子とは 大概そういうものだろう。
しかし今は父の死により 息子は変化したのか。

魂が近づくというより、息子の魂のなかに父は脈々と
さまざまな形で 生き続けているのだろう。
番組をみていて そんな気がした。

「ユング心理学入門」、「コンプレックス」、「昔話の深層」、
「中空構造日本の深層」、「母性社会日本の病理」、
「心理療法序説」もなにもかも 私は読んでいるので、
そのお話しを俊雄さんの解説で 魂と耳に懐かしく聴いた。

感じたのは父隼雄さんよりも 俊雄さんはシャイな方。
偉大な父の亡きあと、同じ道を行くのは
大きな葛藤があったと思う。
憂いを秘めた大きな瞳に そんなことを感じた。

番組が終ると すぐにNHKのテキストを買った。
テキストを読みはじめてすぐに 河合俊雄さんの
文章の見事さに気付き、ほれぼれした。

読みやすくてわかりやすかった。
父の著作や思想を 息子は深く味わい、それを正しく
美しく言葉に紡いでいる。
そのことに感動した。


8月は 戦争の報道を見逃がすまいと録画しては ほぼすべての番組を
見ては、怒りにふるえ 涙を流した私。
夜はベッドのなかで暮しの手帖社の「戦争中の暮らしの記録」の、
言語に尽くしがたい庶民の飢えや空襲、学童疎開の塗炭の苦しみを 
切ない思いで 読み続けた。

しかし今9月になって 8月の戦争の悲嘆と苦しみから、
やっと解放される気がした。
それほど戦争をリアルに感じた2018年の8月だった。


NHKのこの河合隼雄スペシャルのテキストを読みはじめて、
30代の自分に また出会った気がした。
孤独でどう生きたらいいのか わからなかったあの頃の私。

今も孤独だが、「選んだ孤独は よい孤独」と言える。
どう生きたらいいかというと、「あるがまま」に。
孤独のままでも 生きていけると思う。

人と自分が違うことさえわかっていたら 何が起きても
そんなに怖くはない。
あなたは そう感じるのですね…それでいい。

私とあなたは 違ってもいい、それはあたりまえのこと。
でも共感できたときには 大いに喜び感動する。
それが 私が人生から学んだ一番大きなこと。


テキストの最後に 河合俊雄さんの言葉に 希望と勇気をもらった。
河合隼雄さんが強く感じていたことのひとつは、
日本では「男性論理を持った女性の力(パワー)」が必要だということ。

耐える女性ではなく、「意志」し、行動する女性を昔話(炭焼長者)の
なかに見つけて 河合隼雄さんはこう言う。
「このようなすばらしい女性像は、日本の昔話に特異的ではないかと
思われ、従って、日本人の意識を~男女を問わず~示すのに
ふさわしいものと思われる。中略

西洋の近代自我の行きづまり状況に照らして考えるならば、
日本にのみとどまらず、世界全体的においても意味を持つ象徴として
このヒロイン像を提出してもいいのではないかとさえ思われるのである。
それにしても、日本の民衆のこころは素晴らしい女性像を
生み出したものである」
~河合隼雄著「昔話と日本人の心」より引用。

ユング心理学から出発した河合隼雄さんは、日本の昔話や神話、
仏教と深い出会いをする。
その体験から 彼はクライアントとの人間関係を
非個人的な水準にまで広げて持てるようになると、
その底に流れている感情はいとしいという感情も混じった
かなしみだという。

私はこの言葉にも 深く魂が動いた。
「いとしい」「かなしみ」
これは 魂と文学の共通のエッセンスでもあろうか。

過日 こんな言葉にも出会った。
朝日新聞「折々の言葉」鷲田 清一編より
~「存在しないもの」は文化の違いを超えて、
誰にとっても存在しないので、それがもたらす欠落感や
悔恨や恐怖や不安は共有できる~        内田 樹

慣習や財産のように、見えるもの、所有できるものは、
異なる文化の間で共有するのが難しい。
が、見えないし所有もできないけれども、人が生きるうえで
真に拠(よ)り所としてきたものを失ったことの
悲愁は共有できると、哲学者・武道家の内田樹は言う。
だから世界文学の多くが「喪失についての物語」なのだと。

台風一過の青空を眺めながら そんなことを思っていたら、
翌日早朝に 地震が来た・・・
by yuko8739 | 2018-09-08 12:21 | | Trackback | Comments(0)
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