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ゆうゆうタイム

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河合隼雄さんと再びの出会い1

NHKの教育TVで 私の大好きな「100分de名著」という番組がある。
7月のテーマは「河合隼雄スペシャル」
私の本棚には 河合隼雄さんの著作が数多くある。

人生に戸惑うことが多かった30代はじめの頃に出会った、
河合隼雄とユング心理学、そしてカウンセリングの臨床心理学に
深く傾倒して 読んだ本が並んでいる。

私は狭いアパートで3人の子どもを育てる多忙な日常のなかで
子どもたちを寝かしつけると 午後10時からはじまる
NHKの教育番組「人間大学 日本人のこころ」(講師:河合隼雄)に、
かじりついた。
テキストを広げ、ノートを取りながら 河合隼雄さんの講義を聞いた。

フロイトはなんとなく知っていたがく、初めて出会った「ユング心理学」
河合隼雄さんが解説した、母性社会や中空構造などのキーワードによって、
さまざまな疑問の答えを 得たような気がした。

どうしても埋まらなかったクロスワードの空白に 
文字がぴたりとはまるように、私は興奮した。
学ぶ喜びで わくわくした。

自分や自分の人間関係にも 河合隼雄さんの言葉は
当てはまる気がした。
そしてなによりも 自分のこころの謎が解ける気がした。
自己実現(個性化)への過程を 私は歩みはじめたのかもしれない。
数年間、心理学や臨床心理学の本ばかり読み続けた。

河合隼雄さんが 北海道に講演に来たときは、
お話を直に聴けるチャンスを逃がすまいと、3人の子どもを預けて
小樽や札幌に出かけては、最終電車で帰宅したものだ。

その後私は自分の町でロジャーズ派の「カウンセリング研究会」に入会。
エンカウンターグループのワークショップに熱心に参加。
数泊のWSでは 出会いの不思議と困難、そして感動もあった。

毎月の例会では I先生がものの見方や感じ方で
人生が変わるのだと語り、他者を受容する共感の豊かさ、
自分自身の生きる力について 熱く語ってくれた。

しかし私はその頃も今も変わらず こころのなかの師は 
間違いなく 河合隼雄さんだと感じていた。

2007年 文化庁長官だった頃、高松塚古墳の壁画問題で
多忙と心労、ストレスの故か、河合隼雄さんは79歳で亡くなった。
あのときの茫然自失を 私は忘れない。
もし今も存命されていたら どれほどの業績を遺されたか・・・
悔しくてならない。


もしいつか 天の国で会ったら・・・
「しんどいこともあったけど、なかなかうまく生きてきはったなあ」と
あの人なつこい笑顔で 褒めてくれそうな気もする。

「ふたつよいこと、さてないものよ、なあ・・・」
by yuko8739 | 2018-09-05 12:52 | | Trackback | Comments(0)