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ゆうゆうタイム

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2018無謀で悲惨なノモンハンの戦い

8月15日 NHK「ノモンハン 責任なき戦い」をみた。
モンゴルの草原には 今もおびただしい塹壕のあとが大地に
深く刻まれて、胸を打つ・・・

塹壕の総延長は100kmにもわたり、何千何万の塹壕・・・
草原には 今も白い遺骨はあちこちに 野ざらしのまま。
時代遅れの銃で戦っていたらしく、明治時代の薬きょうも発見。
破壊された戦車の残骸も 放置されている。

日米開戦の2年前、1939年5月から9月の4か月間、
日本はソビエトと戦争をしていた。
ノモンハン事件と呼ぶが、事件というより 実際は国境をめぐる戦争だ。

日本陸軍の上層部が ノモンハンを赤裸々に語った音声テープが 
アメリカや日本で新たに発見され、それらの音声記録から 
その実態に迫ったのが、この番組だ。

関東軍は ソ連の最新兵器の戦力を過小評価し、
曖昧な個人の意思決定によって戦争を決め、またたく間に
主力部隊の8割を失った。
結局は、強力な最新戦車部隊を繰り出したソビエトに負ける。
日本はその後、ノモンハンの情報を隠匿した。
ノモンハンでの戦死者数は 2万人にのぼる。

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この戦争を強硬に主導したのが、関東軍参謀の辻政信少佐。
彼の強硬な「国境紛争処理要項案」が作戦の原型となった。
ほとんどなにも考えもせず、他の上司はそれを承認。
そして言う 「たまたま 紛争になった」・・・

陸軍参謀も天皇も ソビエトとの新たな紛争を避けたかったが、
しかし関東軍の行動を 黙認してしまった。
参謀本部にも 容易に口出しできないほど関東軍の力が高まっていた。

中央の了解もないまま、辻は越境爆撃を主張。
彼は陸軍参謀本部に 国家の一大事をはかることもなかった。
正当な手続きさえ彼は無視し、反対意見は握りつぶした。
参謀本部内にも 反対の意見があったのに。
 
なぜ、辻はこのような暴走を許されたのか・・・
陸軍内の人間関係(縁故:情実)が 強く影響した。
公正で公明な判断が必要な国家の一大事に このような
個人的な感情が 国を危うくした。

信じがたいが、しかし続く世界大戦にも 顕著に現れる、
日本の指導者たちの無責任体質。
この紛争で日本が敗れることは 明らかだった。
多くの情報も報告されたが、ソビエトの情報は無視され、
国際情報をも 日本は見誤っていた。

辻は歩兵戦を指揮した。
だが、ソビエトの総力を挙げた戦車や飛行機に対して 
歩兵戦は 無力だった。

多くの戦友を失った、101歳の元兵士、
島根県に住む柳楽林市さんは こう語る。
身を隠す場のない草原で 必死に塹壕を掘った。
「兵隊は鉄砲の弾のようなもの、なんであんなことをさせられたんだ。
死んだ者は 生き返ることができない・・・むだな戦争だった」

また元兵士 曽根辻清一さんは言う。
「鉄砲ひとつで 戦車に向かって行った」
長野近松さん(101)は、「殺すか、殺されるか 命がけ・・・」
各戦陣では 持ち場を死守するよう命令を受けていた。
4カ月で 死者2万。


この戦争が終わった後で 関東軍は現場の部隊長などに
責任を転嫁し、密かに自決を強要された数人が自決。
捕虜になって戻ってきた兵士にも ピストルを渡し自決を促した。

この紛争は、今では第二次世界大戦へのつながる重要なできごととして
位置づけられている。
もし、この国境紛争が起きなかったら 
日本の歴史は 大きく変わっていたかもしれない。


のちに辻は参謀本部に復帰、フィリピンやビルマ戦線で 
米国人捕虜の虐殺などにもかかわったが、終戦後戦犯容疑から
逃れるために逃亡、変装してタイに潜伏。

戦後は国会議員にもなったが、1968年に消息不明になった。
CIAの機密文書には「機会があるならばためらいもせずに
第三次世界大戦を起こすような男」(1954年の文書)と酷評されている。

結局は、このノモンハンの戦争で日本は 多くのものを失った。
そして同じ参謀たちによって 2年後に同じ無責任体質のまま
世界大戦へと突き進んだ結果 310万人の国民が犠牲となった。

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101歳の元兵士、柳楽林市さんは おぼつかない足取りながらも 
今も戦友の慰霊碑への墓参を欠かさない。
161人いた部隊は ほぼ全滅した。
「みなさん 林市が会いに来ましたよ、
ハルハ川の水をお供えするから しっかり飲んでくださいね」

この醜悪な無責任戦時体制を 国民のひとりとして糾弾する!
個人の立案した 根拠なき無謀な戦略を だれも止められないとは!

世界地図をみれば、アメリカという国がどんなに強大な国か、
わからないはずがないだろう、負け戦になるのは自明だと思うが、
それでも日本は戦争に突き進む、神国日本には神風が吹くといって。

ノモンハンの兵士たちのあまりの苦難と 取り返しのつかない犠牲!
指導者の無知無謀無責任!
涙と怒りが 怒涛のように押し寄せた・・・

 
by yuko8739 | 2018-08-17 12:55 | 社会 | Trackback | Comments(0)