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ゆうゆうタイム

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是枝監督カンヌ受賞おめでとう!

<数日前に書いた原稿です>

第71回カンヌのパルムドール(最高賞)を是枝監督が受賞した!
受賞の映像や監督の言葉を 新聞やTVなどでみて 
とてもうれしく感動した。

是枝作品では「誰も知らない」「歩いても歩いても」
「海よりもまだ深く」「そして父となる」などをみてきた。

特に「誰も知らない」という映画は 強烈な印象を残す。
見えない人々(こども)を 描く。
より深くその笑顔と涙に 寄り添って。
知らない世界を 描く。

遠いようで 近くにある世界。
誰も見ないようにしているけれど そこに在る世界、
生きている家族、きょうだい、こども。

それが 一貫した是枝監督のテーマなのだと思う。
とくに最も弱い存在の「子ども」に 寄り添う。
そこに深い共感を覚える。

母親に忘れられた子どもたちが ショッキングでリアルで哀れだった。
公園の水道で洗濯をして コンビニの残飯をあさる。
まさに「誰も知らない」子どもたちの姿。

日本の社会には こういう子どもたちが存在するのだ。
育児放棄された子どもたちの姿を 可視化した映画だった。
だが、この映画には「悪者」が いない。
母親は 子どもにも好かれている。

それが 「是枝流」なのだろう。
誰にも(個人には) 責任を負わせない。
個人を責めるのではなく「社会の歪み」として 描く。

強者や権力者が豊かさを享受して 大人たちは欲望に流される。
そんな時代には より弱いものが犠牲になる。
大人は 子どもを見捨てる。

しかしいるのだ、存在するのだ。
働いても 食べられない多くの人が。
声なきままに 打ち捨てられたり 無視されて生きる大勢の人々が。

そんな人々に なんの救いも 手助けもないこの社会に対する怒りが
根本にあったと 監督は語った。
そんな子どもの姿を 実に繊細に描くその手法は 感動的だ。
胸を打つ数々のシーンが よみがえる。

監督は実際の撮影時には 子どもに細かく指示を与えず、
自然な言葉や仕草を 引き出すらしい。 
まさに「自然な子どもの輝き」を そうやってすくい取るのだ。

犯罪でつながり、生きている家族の 愛おしいような日常を 
血縁ではなく唯一無二の「絆」で描いた受賞作、
「万引き家族」を、早くみてみたい。

監督の旧作も じっくりとみたい気がする。
「ワンダフルライフ」「幻の光」など。
by yuko8739 | 2018-05-23 13:27 | 映画 | Trackback | Comments(0)