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ゆうゆうタイム

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孫たちに/秋のはじまり

珍しく孫1号が 先週我が家に泊まりに来た。
この春までは毎週のように 我が家に金土日と、泊まっていたが。
今では 思春期後期?となり 泊まることも珍しくなった。

孫たちが来ると、私は張り切ってヘトヘトになっても 好きな料理を作り!
おやつには手づくりのパンやドーナツ、ピザや草餅なども仕込んで 
いつもおいしく にこにこと食べた。
しかし、孫の来ない日が続くと かなりの手抜き?
まあ、それでも これが孫たちの順調な成長なのだろう。

君たちとは、また再び深い出会いをするために、今はこうして
離れることが 必要なのだろうと思う。
かっての自分が そうだったように。

肉親への愛も憎しみも 人の成長には どちらも必要なのだ。
本気で愛するためには 本気で憎まなくてはならない時期もある。

魂の深いところで いつかなにかを 取り戻すためにも。

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私が中学生だった頃、父がいなくなることを たびたび夢想した。
私にとって 父は自分勝手で感情的な男性優位者の象徴だったから。
私は「家族に君臨する男」を 心底憎んでいた。
父が大嫌いで 父とはほとんど会話もしなかったと思う。

十代という時期は、権力を憎み、批判することは快感なのだ。
残念ながら その頃の家庭では「民主主義」は機能しなかった。
私はその時期 自らの魂のなかで 心理的な「父殺し」を行っていたのだろう。


そんな私だったが、父が63歳でガンで亡くなったあとに、 
父の釣友だちから聞いた言葉に 衝撃を受けた。
「お父さんはね、釣りのときのキャンプとかで 
娘(私)が自分になつかないから寂しいと、悩んでいたよ・・・」

信じられなかった。
父権の象徴のような「強い頑固な父」が、寂しがっていた???
私のことで?本当に?
そんなことを 部下に愚痴る人だったのか・・・

今では、わかる。
頑固で家のなかに 君臨しているかのような父の寂しさや孤独、
家族のなかでは 父を理解せずに 嫌う子どもたち。
果たされなかった 夢。
もしかしたら 父は小説を書きたかったかもしれない。

父は本質的には 寂しがりやで涙もろく、文学を愛し、正義に燃えて
組合活動に没頭して 大いに仲間たちに愛された。 
多趣味で 釣りや写真を愛し、スポーツも好んだ。
そして 心底母を愛した。

ハンサムだった父の なにを憎んだのだろうか。
子どもだった私は。


父よ、寂しかったですか・・・
寂しかったと思う。
今はわかります、その気持ちが 身に染みて。

父よ、あなたを抱きしめたい、ごめんなさいと謝りたい。
今は このわが胸のなかに住む、あなたに深く謝罪したい・・・

もうひとつ、私には忘れがたい父の思い出がある。
3人の子どもを産み、子育てでひたすら忙しかったある日、
実家にいったときの 父よ、あなたの言葉も忘れられない。

「お前を大学にやらなかったことを 父さんは後悔している・・・
ごめんな・・・」強気な父が 泣きそうな顔で そう言った。

~頭がよい長男は進学して当たり前、ふたりの娘は 高卒でいい~
父はそう感じていたと思う、あの時代の多くの父親と同じように。 
しかし自分が本気で進学を望んだのなら、どうにでもできたはず。

結局、進学しなかったのは自分の意思だと 父には伝えたが。
その父の言葉を聞いて 私は、泣いた、大泣きした。

父のその言葉が 私の人生を飾る勲章になるほどに うれしかったのだ。
父の愛と深い後悔、そしてそれを自らの言葉で 私に伝えてくれたことが
うれしくて 私は涙がとまらなかった。

父は私を進学させなかった後悔を 人生の終わりまで語り続けたと
母からその後も 繰り返し聞いた。

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こんなふうに、孫たちよ、
時間が過ぎないと わからないことがある。
親の思いは 君たちが親になって 初めて知るだろう。

今は世界の中心が自分で。
自分の周りで勉強や友達や初恋やスマホも ぐるぐる廻るばかり。
渦に巻かれて 自分しか見えない。

バカで愚かな大人は 自分勝手で 生活に疲れていて。
つき合ってられない。
それは そうだけど・・・

親のなかにある 耐え難く逃れようのないもの。
失われた夢、生きるかなしみに、
いつか君たちも 出会うだろう。

そういうものに、君たちが手を差し伸べ 抱きしめようとするとき、
そのときこそ、君たちを「大人」と呼ぼうか・・・
大人の門の入り口で 君たちがやって来るのを
私は 愉しみに待ちたいと思う。

でもね、忘れないでほしい。
大人のなかにも 6歳や15歳の子どもが住んでいることを。
大人は 過ごした年齢のすべてを 魂のなかに持っている。

ときに それを 忘れてしまったりするけれど。

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今日の最低気温は 14℃、
来週末には もう12度台に下がるらしい、涼しいというよりも寒い。
日曜の夜に 海の大橋を渡って 泊まった孫を自宅に送った。 
 
オレンジ色の大きな月が 夜空に浮かんでいた。
その輝きが 波のない静かな港に「光の道」を作っていた。
わが故郷の港を静かに彩る オレンジ色の光の道。
きれいだね、と孫につぶやき 美しい夜の港に見惚れた。

夜のウオーキングのときには 命を継ぐ虫たちの声が
ひときわ大きく響く、生と死を 想うひととき・・・
もうすぐ寒い季節も やってくる。

子猫たちがいなくなったウッドデッキには 
激しく冷たい雨が降った。
by yuko8739 | 2017-09-14 15:23 | 家族 | Trackback | Comments(0)