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ゆうゆうタイム

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過労死と人権

先日、最長月130時間の残業などが原因で 自殺した電通女性社員が、
過労死と認定された、という報道があった。

元電通社員の高橋まつりさん(24歳)は、「2時間しか眠れない」
「生きているために働いているのか、働くために生きているのか
分からなくなってからが人生」
「土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい」

ラインやツイッターなどに遺された 悲痛な彼女の叫びに 涙がこぼれた。
こんな残酷な労働環境を 放置しておいてよいわけがない。
電通には同じような過労死が 過去にもあったというのに、
なぜ、このような痛ましい死を 再び防げなかったのか。
 
電通には労働局から 立ち入り検査も入り 悪質な法令違反が見つかれば、
刑事事件に発展する可能性が高まっている。

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過労死の報道の直後に、信じがたいことが起きた。
武蔵野大学の長谷川秀夫教授が「残業時間が100時間を超えた
くらいで、過労死するのは情けない」とするコメントをニュースサイトに投稿。

その信じがたいコメントに 激しい怒りがふつふつと湧き上がった私。
いわば、過労死の彼女は 犠牲者ではないか。
犠牲者に向かって「情けない」とは どういうことか!

後に長谷川教授は 謝罪している。
大学側も謝罪の上 今後はしかるべき対応を取るとしている。
もちろんだろう。

あまりにも無慈悲で 自分の体験からだけの自分勝手な発言だ。
他人の苦しみや痛みに対しての共感など 皆無だ。

教授自身は仕事に夢中になって 寝る間も惜しんで働いたかもしれない。
(多分 妻に家事やすべてを 任せたのだろうし)
それは 自分の意思だろう。やりがいも感じただろう。
しかし 彼女は「働かされた」のだ、自分の意思に反して。

それに大学の教授ともあろう人が「自分と他人は違う」という
最も基本的な大切なことを 理解していないとは驚く。

人権というものを どう考えているのか。
生きる権利を尊ばない人には 学生に教える資格はない。

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そんな思いが深くなったのは、最近仕事でCAPの活動を
調べて その理念に深く感動したからでもある。

CAP(キャップ)とは、Child Assault Prevention
子どもへの暴力防止の頭文字。
「子どもを暴力から守るためのプログラム」は78年にアメリカで
生まれた活動で85年に日本に紹介された。

その後96年頃から 日本各地でCAPスペシャリスト養成講座が開講。
CAPのワークショップは 学校に出向き、子どもたちに
誰もが持っている『安心』『自信』『自由』の3つの権利を伝える。
自分らしく生きるために。

3つの権利を侵すいじめや 暴力から身を守るための方法を、
身近な事柄のロールプレイ(役割劇)で学ぶ。
『NO』(いやといっていい)
『GO』(逃げてもいい)
『TELL』(誰かに話そう)の3原則で対応する方法を教える。

自分の『安心』『自信』『自由』の 3つの権利を侵害されて
どうしようもないときには 自分の人権を侵すものと
対応する方法もあったのに・・・そう思わずにいられない。

「いやといって逃げよう、誰かに話そう」
この3原則で どうにかできたかもしれない、
この女性が 命を落とす前に・・・

子どもにもある権利は もちろん誰もが必要な権利だ。
『安心』『自信』『自由』が 自分のものだと知って 
私は 今更だが 感動した。
人間の権利とは 平易な言葉で表すと こういうことなのだ。

その権利を犯すものと 大人の自分は闘うべきだと思うし、
闘う力もあると思う、子どもではないのだから。

高橋まつりさん、あなたを追いつめた利益至上主義や
無法な労働環境放置、人を道具としか扱わない悪徳企業電通を
私は決して許さないし、糾弾し続けたい。

あなたのお母さまの 生涯消えないかなしみの傷跡と喪失感を想い、
その心中を深くお察ししながら あなたのために ご冥福をお祈りします。

若く能力豊かで美しいあなたの未来を奪ったものを 許さない。

もう2度とこんなことが 起きませんように。
by yuko8739 | 2016-10-16 23:47 | 社会 | Trackback | Comments(0)