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ゆうゆうタイム

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ジャーナリズムの本質

数年前に、朝日新聞の誤報問題が起きて 大騒動になったとき、
自分自身も なにか拠りどころを失くした気がして 
あまりのことにショックを受けた。
朝日新聞には長年の愛着、信頼という言葉が 私の場合はぴったりだった。

「マスコミの在るべき姿とは 現政権批判である。
それが使命でもあり、存在価値でもある」と固く信じていた私は、
朝日新聞に対する、長く続いたバッシングにも苦しんだ。

この時とばかりに 浅ましく下品な批判を 執拗に続ける他紙や、
週刊誌、netの暴言には うんざりした。


そして、時は流れた。
バッシングの痕跡は 深い空洞のように消えることがないだろうが 
今はずいぶん激しい批判も 少なくなった気がする。

そういうことと このことは関係があるのか、ないのか。

朝日新聞3月30日朝刊 
「テレビ報道、強まる同調圧力 金平キャスターが語るいま」

NHK、TBS、テレビ朝日の看板キャスターがこの春、相次いで交代する。
そんななか、高市早苗総務相による放送法違反を理由とした
「停波」発言も飛び出した。

テレビ局の報道現場でいま、何が起きているのか。
TBS「報道特集」キャスターの金平茂紀さんに取材した記事が掲載された。
(以下 引用含む:カッコ内は金平さんの言葉))

金平さんは 高市発言について ジャーナルスト5人の記者会見でも 
「息苦しさの本質は政治権力の強圧的な姿勢の結果というよりも、
メディアが政治権力の意向を先取りして、自己規制、自己検閲を強め、
本来行う必要のないことをやっている結果だと思う」と指摘している。



金平さんの朝日の記事のなかで 私がはっとしたことがあった。
――危機管理優先がジャーナリズムの勢いをそいでいます、という質問に、
 
「朝日新聞がそうですね。
とりあえず違う意見も載せておこうと、多様な意見を紹介するとの
お題目で両論併記主義が広がっていませんか。

積極的に論争を提起するのではなく、最初から先回りし、
文句を言われた時のために、『バランスをとっています』と言い訳が
できるようにする。防御的な発想ではないですか」


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このことこそ、あの朝日問題のあとで 私が強く感じていたことだった。
いかにも朝日新聞らしからぬ論点で語る、大学教授などの言説に、
強い違和感を持った。

なぜ?という疑問、しまいには 朝日らしくないなあ!と怒り。
そして、またか?

だから 金平さんの言葉には、思わず、その通り!!!
なにか問題が起きることを予見して 担保している感じ。
すべて 安全で無事に「ことなき」ように 済むように。

権力を監視する番犬『ウォッチドッグ』になることは、
ジャーナリズムの最大の役割だが、その番犬がバッシングに弱いとしたら
どうなるのだろう?

金平さんは、こう語っている。
「この国のテレビの姿は、政治の影響下にある中国やロシアのテレビと
五十歩百歩ではないのか」・・・

「僕らの仕事は、市民の知る権利に応えるためにあるのです。
報道に対する市民の目が厳しい今だからこそ、一番の根本のところを
考えてほしいと思います」


私は 金平さんの言葉に感動した。
それと同時に 権力の意向を先に忖度して 権力の意のままに動いてしまう
日本人とは、なんと情けないことかと 怒りを感じる。
人権や民主主義、自由は どこへ?

こういう国民性ゆえに 先の戦争では天皇崇拝に熱狂し、
侵略戦争を 正義の戦いとして 担ったのだろうか。

そして、今も知らず知らずのうちに 国民の多くが
そのような潮流に呑み込まれつつある・・・
by yuko8739 | 2016-04-03 10:18 | 社会 | Trackback | Comments(0)