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ゆうゆうタイム

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鳥たちの森(後編)

時は 過ぎていきました。

青い鳥たちは ときどき遠い目をして 赤い鳥を思い浮かべました。
花びら遊びのとき 得意そうに 舞うように美しく飛んで 楽しそうだったこと。

きらきら川の水しぶきに戯れて、赤い羽根が金色に輝いたあの頃。
夜、木の洞でみんなで眠りにつくとき 赤い鳥の心臓がトクトクトクという 
気持ちのよい きれいなリズムを刻んだこと。
それを聴くと 安心して眠りにつけたこと。

思い出は多すぎて 青い鳥たちはそれを語り合いながら 暮らしました。
もう諍いなど 起きませんでした。
きょうだいのように仲よく寄り添い、決して2羽が離れることなどありませんでした。

それでも 2羽の青い鳥は 口には出さずに 心のなかにしまっている
それぞれの思いがありました。
~赤い鳥とぼくが家族になったら、小鳥が生まれたら どんなに幸せだったろう~
~赤い鳥は ぼくとあいつのどっちが好きだったのかな~


そして また時が流れました。
青い2羽の鳥たちは 年をとってますます仲よくなりました。

もう大空を自由に飛びまわることも できませんでした。
それでも 思いだけは 自由に駆け巡りました。
3羽で遊んだ日々は 黄金のように胸に輝くのです。

羽もどんどん抜け落ちました。
抜け落ちた所が ひどく痛みました。
くちばしも 歪みました。

飛べなくなって、地面をよろよろ歩いて 落ちて腐りかけた実をついばむのです。
歩くのが遅くても 必ずもう1羽が立ちどまって 待ちます。
立ち上がれないときは 動けない鳥のそばで もう1羽が励ますように
小さな声で歌います。

青い羽根は いつしか灰色に変わりました。
頭に生えていた黄色の毛は 美しい冠のようだっのに すでに抜け落ちました。
それでも 青い鳥たちの胸から 赤い鳥が消えることはありませんでした。
夢か現(うつつ)か よく分からなくなり 泣きたくもないのに 
むやみに 涙がこぼれました。

そして ついに青い鳥たちは ほとんど食べることができなくなりました。
胸も 腹も ギリギリと痛みました。
痛みにあえぎながらも なんだか赤い鳥に 近づいているようでもありました。

「ぼくたちは 3羽で幸せだったね・・・」
「もうすぐ どこかでまたいっしょになれるよ」
「そうだね、また会えるね」
2羽の青い鳥は寄り添いながら かすかな声で 語り合いました。

「生まれ変わったら またみんなで遊ぼう。
また仲よく暮らそう・・・」

「赤い鳥は 本当は きみのことが好きだったよ」

「いや、どちらも選べなかったから いなくなったんだよ。
ぼくときみを同じだけ 好きだったんだ」
・・・2羽の青い鳥は 声を出さずに 泣きました。

「そうだね・・・」

「きっとそうだよ」

「ありがとう・・・」

それが 青い鳥の最後の言葉でした。
もう1羽の青い鳥も それからしばらく経って動かなくなりました。

2羽は寄り添い、折り重なるように 横たわっていました。
苦しみから自由になり すべてが終わった安らかな様子でした。 

森の大きな木の下で ゆっくり寝ているようでした。
動かなくなった2羽の鳥の その上に広がる大きな木は 
昔 3羽で眠ったあの洞のある木でした。



その2羽の青い鳥の上に、その木から 赤い花びらが 
はらはらと 落ちてきました。

赤くてふんわり軽い布のきれはしのように・・・
2羽の青い鳥の上に 次から次へと 花びらが重なりあって 落ちてくるのです。


2羽の青い鳥は まるで 赤い鳥の翼に抱かれて
眠っているようでした。



終り

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by yuko8739 | 2014-07-01 08:19 | 創作 | Trackback | Comments(0)
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