アスペルギルス・オリゼ~千年の旅~

録画しておいたNHKスペシャル「和食 千年の味のミステリー」を観た。
そして、うなった。

全編を通して なんという映像の美しさ!
黄金色の光を放つ出汁の色や 食材を引き立てる和の器の美しさ。
どうやったら このような美しい映像が撮れるのか。
その美しさの虜になった。

日本にだけある酵母「アスペルギルス・オリゼ」とは?
世界中で日本にしかないのは なぜか?

はるかに想像を絶する この菌オリゼの1000年の旅。
時を越えて 今私たちのこころと体を満たす和食の源が 明らかになる。
なんという不思議!

日本人は どうやってオリゼを 作り育てたのだろう・・・
科学という言葉もない大昔に 突然変異という概念もないままで。
根気よく選び 育てたのだ、まるでわが子を慈しむように。

椿の葉を燃やした灰をまぶして アルカリ性になったごはんの表面を 
オリゼが薄緑色の胞子で包む。

日本でしか育たなかったその酵母は 枯れ木に花を咲かせましょう、と
蒸した米に蒔かれ、ゆでた大豆に蒔かれ、蔵人の繊細な見守りによって、
見る間に その姿や形を変えてゆく。

素材のでんぷん質を養分にして オリゼの花がぐんぐん伸びる。 
初めての撮影だというそのミクロの映像は 命の力強さと歓喜をみなぎらせて圧巻。

日本のすべての酒蔵や醤油蔵などに その酵母を出荷する
種麹屋(古くから「もやし屋」と呼んだそうだ)は、
なんと、日本に10軒ほどしかないという。
そこで作られた種麹が 日本のすべての酒や醤油、味噌の味を決めるという!


和食を支える醤油蔵の職人の伝統的な技と精神。
案内役の松たか子の静かな雰囲気とナレーションも心地よかった。

すべてに香りたつのは 日本の美。
そして 米麹のなんというすばらしさ!
この酵母が 日本のすべての食を支えているといっても過言ではない。


この秋にも、私は新潟の酒蔵から5kgほどの米麹を購入し、
玄米麹漬けやニシン漬け、そして鮭の飯寿司を仕込んだ。
毎年、味噌も米麹と大豆で手作りしている。

麹のあのかぐわしい香りと 手のなかでほろほろと崩れるあの優しい感覚を
こよなく愛している。
それも、きっと種麹屋さんが育てた米麹から できたもの。
米麹が溶けて柔らかくなって はじめて味噌や漬物や飯寿司は 劇的に味が変化する。
おいしくなる、オリゼの魔法だ。

そうか、日本にしかないものだったのか。
日本人が作り 育てたものなのか。
それを知って こころが 深く動いた、日本に生まれた幸せを思った。

そして 私は京都の澤井商店に さっそくあの醤油を注文したのだった!

~以下、番組情報から~
今年12月、ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」。
その味を決める「みそ」「しょうゆ」「みりん」…
こうした和食特有の「うまみ」がつまった調味料は、実は知られざる、
ある<カビ>によって、もたらされています。

<アスペルギルス・オリゼ(日本麹カビ/A・オリゼ)>です。
今から千年ほど前、日本人は、自然界に漂う何億種類のカビの中から、
A・オリゼを抽出する方法を世界で初めて編み出しました。

鎌倉時代には、蒸し米の上でカビを育て、どこにでも運べる「カビの種」を
作る種麹屋(たねこうじや)が現れました。
種麹屋はいわば、「世界最古のバイオビジネス」。

この登場で、A・オリゼは全国に広まり今に至ります。
日本酒も、このA・オリゼの力から。
カビをこれほど巧みに扱う民族は世界に他にありません。
あらゆる「うまみ」のベースには、このカビとその仲間がいるからこそ、
和食は統一感のある味と香りのハーモニーを奏でることができる
ともいえるのです。

今回、日本独特の食文化を育み司ってきた、カビ=A・オリゼが
繁殖していくミクロの様を初めて実写での映像化することに成功。

番組では、和食のすべてが生まれたともいえる古都・京都の
四季の移ろいを巡りながら、その風土と職人の誇りとが
<アスペルギルス・オリゼ>と絡みあい、それが醸し出してきた
日本の食文化の奥深い世界を、サイエンスとヒストリーの両面から
見つめていきます。

プレゼンテーター(兼語り) 松たか子(俳優)
※フランスとの国際共同制作
プロダクション・エイシア(日本)ポワン・ド・ジュール(フランス)
アルテ(フランス)

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このすばらしい番組を制作したのは、プロダクション・エイシア。
エイシアが制作したドキュメンタリー番組も 何作か観たことがある。
その代表で、この番組のディレクターでもある柴田昌平さんに、
私はお会いしたことがある。

数年前に 柴田さん監督の映画「ひめゆり」を道内数か所で自主上映した際に、
柴田さんに わが町に来ていただいた。

上映前に挨拶をいただいたが、柴田さんの言葉は映画とともに深く私の胸を打った。
上映後は、柴田さんを囲んで 映画の仲間たちと共に 楽しい打ち上げの集まりを持った。
私の焼いたお菓子などを喜んで食べていただいて うれしかった思い出がある。

柴田さん、すばらしい番組をありがとう!
私は この番組に敬服し、感動致しました。
私は柴田さんの作るドキュメンタリーが 大好きです。


これから毎年 米麹をこの手でほぐすとき、オリゼの物語と映像が 
きっと私の胸に 鮮やかによみがえることでしょう・・・

by yuko8739 | 2013-12-18 01:05 | おいしいもの | Trackback | Comments(0)  

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