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ゆうゆうタイム

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ひとりだ、でも淋しくはない

先日、NHK ETV番組「ひとりだ でも淋しくはない」再放送の一部を観た。
本放送を見逃し、アンコールにも気づかなかった。
深夜なのに、ひとときTVに 釘付けになった。

信州・伊那谷の自然のなかで暮らす詩人
加島祥造さん(90歳)の日々を描いた番組だった。
「はじめの自分にかえる」という言葉が とても印象的だった・・・

~以下、番組HPより抜粋~
加島さんは大学教授で、ノーベル文学賞作家
ウィリアム・フォークナーやアガサ・クリスティの
数々の翻訳で名声も獲得。

しかし、なぜか心は満たされず、逆に息苦しさを
感じて生きていた。

そんなとき、野山で自由に遊び回っていた
幼少期の頃の感覚を思い出せという内なる声が聞こえた。

60歳になった加島は、我慢の限界に達し、社会から飛び出す。
そして、たどり着いたのが伊那谷だった。

その大自然に触れるうち、自分の中に可能性を秘めた
赤ちゃんのようなもう一人の自分、いわば「はじめの自分」が
よみがえった感覚を感じたという。

その後、伊那谷で暮らすうちに、なぜか詩が湧いて出てき、
また、絵も描けるように変わっていった加島。
精神のバランスも徐々に取れるようになっていった。

そんな加島さんの元を訪ねるようになったのが、
政治学者の姜尚中(63歳)。順風満帆に見える姜だが、
実は、4年前に長男を26歳の若さで亡くした。

それがきっかけとなり、60歳を過ぎて、このままの人生を送っていいのか、
何が自分にとっての幸せなのか考えるようになったという。
そんなときに偶然出会ったのが加島さんだった。
それ以来、たまに伊那谷を訪れて、加島とのやりとりを
繰り返している。

わがままと言われようと、ただ命に忠実に向き合ってきた加島。
番組では人生の晩年をどう生きるか、
今もあがき続ける90歳の日々を見つめる。

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加島さんは 伊那谷で知り合ったドイツ人の女性、
心の拠り所であったAM(アム)さんというパートナーを亡くし、
生きる目的を失い、数年間は呆然と暮らしたという。

加島さんは すべてを失うような 絶望の淵でさまよい、
そして再び ゆっくりと 動き出す。

「ロンリー」から「アローン」へと 心のありようは 変わっていく。
それは 自らの詩集「求めない」「受いれる」を 実践するような心境だったろうか。
そして辿りついた境地が・・・
~ひとりだ、でも淋しくはない~



そんな伊那谷の加島さんを訪ねるようになったのが、政治学者の
姜尚中(カン サンジュン)さん。
姜さんは 数年前に26歳の長男を自殺で失った。

姜さんは ひととき多くの仕事をこなすことで、息子の死を乗り越えようとした。
しかし 息子の死と正面から向き合ったときに 息子が残したメッセージや、
自分が生きることの意味を 深く考えるようになったという。

「幸せになるために 生きているのではないから」
姜尚中さんのこの言葉には はっとした。
そして模索のなかで出逢ったのが 加島さんだった。

光あふれる伊那谷の自然のなか 加島さんと語りながら
息子が残した最後のメッセージを 姜さんは抱きしめる。
それは 息子亡き後も生きてく 自分への応援歌ではないのか・・・ 



加島さんも姜さんも、結局は「本来の自分に還る」ことを
自然の調和のなかで 感じているのかもしれない。
多分、そういうことなのだと思う。

そして そのことは・・・
「ひとりだ、でも淋しくはない」この言葉に 象徴されていると思った。
そこを 目指したい、私も。


はじめの自分は、「ひとり」だけれど 淋しくはないのだから。


Alone ,but not Lonely
by yuko8739 | 2013-10-30 10:40 | | Trackback | Comments(0)