ゆうゆうタイム

時代の魂を描くⅡ

山田太一の本を読み進めているが、うれしかったのは 彼の薦める
10冊の本と20本の映画が 記載されていたこと。

残念ながら箴言集や評論集のジャンルは 今まで ほとんど読んで
来なかったので、これからの人生の宿題にしようと思う。

特に映画20作には 私が熱愛する作品も多く、うれしかった。
未見の作品は さっそくネットレンタルで観てみようと思った。

以下 山田太一が選ぶ50年後も読み継がれるべき
アフォリズム(箴言)の10冊

「チェーホフの手紙」  アントン・チェーホフ
「エセー 1~4」   モンテーニュ
「小説の精神」     ミラン・クンデラ
「カフカとの対話」   グスタフ・ヤノーホ
「偶然と黄昏 反キリスト者 ニーチェ全集14」 ニーチェ
「歴史とユートピア」  シオラン  絶版
「悲劇の死」      ジョージ・スタイナー
「詩という仕事について」ボルヘス
「フォースター評論集」 フォースター
「不穏の書、断章」   フェルナンド・ペソア

映画 
「ベニスに死す」「カサブランカ」
「ある結婚の風景」「キャバレー」
「フロント・ページ」「アニーホール」
「ブルーベルベット」「黄昏」
「さらば、わが愛」「羊たちの沈黙」
「ショーシャンクの空に」「サイダーハウス・ルール」
「42丁目のワーニャ」「リービング・ラスベガス」
「トーク・トゥ・ハー」「秘密と嘘」
「ドッグヴィル」「シカゴ」
「サラの鍵」「カポーティ」

映画は4作品を除く 16作品は観ている。
私が偏愛している「「羊たちの沈黙」「ショーシャンクの空に」
「サイダーハウス・ルール」「ドッグ・ヴィル」が入っていたのは 
うれしかった。
感動して 胸の鼓動が高まった作品ばかりだ。

しかし「奇跡の海」や「ピアノレッスン」が入っていなかったのは、ちょっと不思議・・・
私が女性で 山田太一が男性だということと 関係があるのかもしれない・・・

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人生は誰にも教えられないけれど
1997年6月刊 アンソロジー「嫁ぐ娘、嫁がぬ娘へ」 山田太一
以下引用(抜粋)

結婚相手が、実は思ってもいなかった存在だと分かるのは怖い。
ところがどんな結婚だって、ほとんど必ずそういう意外性は
あるのだからおそろしい。

多くはのぼせているうちに知り、ひそかに歎きながらも、
若さや性欲に助けられて何とかやっていくのだけれど、
それで配偶者の実態が分かったつもりでいると、そうはいかない。

中年になって、それまで隠していたおぞましいものが
急に浮上したりするのである。

死ぬまで隠していた秘密などというものもある。
そんなことはうちみたいな平凡な夫婦にはない、と思っていると、とんでもない。

人間は分からない誰がなにを秘めているか知れやしない。
そういう分からない他人と一緒に暮らそうというのは、
ほとんど無謀というか無神経というか怖いもの知らずなことで、
他者のエゴ、性向、不潔に多少の想像力があれば、
結婚などめったに出来るものではないはずなのである。

その上、結婚で「予期しなかった」実体が浮上するのは、配偶者だけではない。
他人と暮らさなければ知らずにすんだ自分の怖さにおどろいたりする。
姑を殺してやろうか、と本気で思っていたり。

それに比べて、独り暮らしの女性同士の、少し老いて来た頃の
関係は、なんといい味だろう。



被害者が加害者だったり、相手の方が我慢していたと分かったり、
お互いの始末に負えない負えないエゴに絶句したり、
理解し合うなどという言葉の浅薄に立ち尽くしたり、
曖昧、不純、諦め、習慣、平穏などを否定しきれない弱さ、
さらにその底の深い暗闇に気がついたりもする。

どっちがいいとか悪いとか、損だとか、得だとか、
そんな議論では尽くせない存在の深部、関係の混沌を生きたりもする。

人生も生きてみなければ分からない。
少女期も、青年期も、中年、老年期も、その手ざわりは自分が
生きてみなければ分からない。

愛も恋も、嫉妬も失意も、孤独も病気も仕事も、
結局のところそれを生きてみなければ分からない。

人生の肝心なところは、みんな、そうである。
結婚することも、しないことも。

とはいえ、オムレツは素手より箸よりフォークの方がいいとか、
スプーンの方が食べやすいとか、そういうことは伝えられる。

食べなければ、自分にとってどんなふうかは、本当は全然分からないのだけれど、
それでも周辺についての知恵や知識は頼りになるものだ。

人生は素手で立ち向かうには、厄介なものに満ちている。
先人の声を聞いて、身を鎧(よろ)うことも悪くない。


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最後に・・・
コラムニスト 中野翠の言葉


「もしかすると誰の家にも山田太一ドラマがひそんでいるものなのかもしれない」


これこそは 最高の賛辞!!!
そして 実感。
by yuko8739 | 2013-08-25 10:07 | ドラマ | Trackback | Comments(0)
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