ゆうゆうタイム

yukotime.exblog.jp
ブログトップ

小川洋子の静けさ

以前 「博士の愛した数式」という映画を観て 感動した。
原作も読み、 小川洋子の静謐で不思議な世界に魅了された。

そして 今私は昨年暮れの川上弘美の本を一巡して 
今 再び小川洋子と出会っている。
彼女の本は まず文体が美しい。(川上弘美もそうだが)
最小限の言葉で 最大の効果をもたらす。

言葉が透き通っていて 余計なものをそぎ取ったような単純明快さ。
その研がれた 少ない言葉からあふれる静けさと 深いけれど淡い感情。
微妙な雰囲気を漂わせる 哀しくも魅力的な人たち。


読み終わったのは 「ミーナの行進」
第42回(2006年)谷崎潤一郎賞受賞
c0204725_2245388.jpg

コビトカバに乗って通学する 喘息持ちの少女ミーナ。
お屋敷に住むドイツ人のお祖母さんと息子一家、
夢のような 上流階級の上品な暮らし。

母子家庭の朋子の母親は ミーナのお母さんと姉妹。
このいとこミーナの屋敷で 母親が仕事のために学校に通う間 
朋子は共に暮らすことになる。

なんて 不思議な物語だろう。
香水と煙草の香り、美しいレースや古い骨董品などに囲まれて。
一流ホテルから料理人を呼んで 食べたこともないディナーを楽しむ贅沢。

そんな夢のようなお屋敷で 読書好きでマッチ箱の物語を紡ぐ、
いとこのミーナと過ごした日々・・・
不思議で美しく 淡い哀しさをたたえながら 物語は紡がれる。
創造という言葉の翼は 静かにそっと 広げられるのだ。

寺田順三さんの挿絵には 目が釘付け!
この本の世界観が 実に見事に 完璧に表現されている。
c0204725_22461137.jpg


c0204725_22462734.jpg

c0204725_22515874.jpg


c0204725_22535585.jpg


c0204725_22472239.jpg

c0204725_2247506.jpg


読み終わって小川洋子さんが大好きになった私は、続けて今評判の本を買った。
「ことり」、この本は、彼女の12年ぶりとなる待望の書き下ろし長編小説。
半分まで 読み進んだ。

世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。
図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い...
やさしく切ない会心作。[BookWeb書誌より]~

小川洋子は 1991年に『妊娠カレンダー』で芥川賞を受賞し、
2004年には『博士の愛した数式』で本屋大賞と読売文学賞をダブル受賞した
この本では、「小さき名もないものへの愛」を描こうとしたのではないか。

小川洋子さんという作家は、聴こえない声を聴こうとし、
見えないものを 現わそうとしているような気がする。

以下、小川洋子インタビューから引用
~この世界の片隅に押しやられて、ひっそり生きている人達も、
すごく大事な言葉を 実はささやいている。
それはすごく小さな声なんで、本当に心を静かにして耳をすませないと聞こえてこない、
例えば小鳥のさえずりみたいな...

ですから、自分のすぐそばにこんなに美しい小鳥のさえずりが聞こえているのに、
雑音に邪魔されて聞こえてないっていう日常にまみれている人に、
耳を澄ますような気持でね、
この本を開いていただけたらなって思いますね。~




声高に、大きい声を出さないと 伝わらないこともあるが、
小さな かすかな声にも そっと耳を澄ますと 世界は違ってくるだろう。

そうしながら 魂にふれて通り過ぎるものたちを 私は大事にしたい。

小川洋子さんに 静かで優しい世界を 手渡してもらう、
歓びへの予感に 胸ときめかせて・・

c0204725_22481577.jpg

by yuko8739 | 2013-03-28 22:10 | 読書 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://yukotime.exblog.jp/tb/19749961
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。