ゆうゆうタイム

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せつない女神

先日、震災から半年後に 宮城でライブを開いた桑田佳祐が
朝日新聞のインタビューに答えて こう言っていた。

「すべての歌は、悲しみがベースになっているんじゃないか」
~悲しみを大声で叫んだものがロックンロールである~
と誰かが言っていましたけど、なるほどな、と思うんです。
悲しいとき、節をつけて叫んでみるとかね、
そういうことが音楽の正体なんじゃないかな」


私も そう思う。
もしかしたら文学も絵画も およそ芸術というのは 悲しみをどのように描くか、
表現するか、それが すべての正体ではないか。

そして悲しみを描きながら、すべての芸術は 不思議なことに 
悲しみを癒す力を 持つ。
そのゆえに 芸術というものは神々しく 奇跡のようなもの。

人の身近に起きた悲しいことは「悲しみ」
その悲しみから少し離れたり 時間が経ったり 何かが終わっても 
かなしさの本質が残る。

生きていると 心の底に降り積もるやるせなさ、切なさ、行き違い
どうにもできない人間の感情、かなしみを こんな言葉で現す女(ひと)がいる。


途に倒れて誰かの名を 呼び続けたことがありますか
人ごとに言うほど 黄昏は優しい人好しじゃありません
別れはいつもついてくる、幸せの後ろをついてくる
あなたは憂いを身につけて 浮かれ町あたりで名をあげる
眠れない私はつれづれに わかれ歌今夜も口ずさむ(わかれ歌)

悲しいですね、人は誰でも 明日流す涙は見えません

故郷へ向かう最終に乗れる人は急ぎなさいと 
優しい 優しい声の駅長が 町なかに叫ぶ
ふりむけば空色の汽車は 今ドアは閉まりかけて  
明かり灯る窓の中では 帰り人が笑う
走り出せば 間に合うだろう
飾り荷物を振り捨てて 町に 町に 挨拶を
振り向けば ドアは閉まる(ホームにて)

私の帰る家は あなたの声のする街角 冬の雨に打たれて 
あなたの足音を探すのよ、
あなたの帰る家は 私を忘れたい街角 
肩を抱いているのは 私と似ていない長い髪

こころが街角で泣いている ひとりは嫌いだとすねる
ひとり上手と呼ばないで 
こころだけ連れてゆかないで
私を置いてゆかないで
ひとりが好きなわけじゃないのよ

雨のように素直に あの人と私は流れて 雨のように愛して 
さよならの海へ流れてゆく
(ひとり上手)

夜は浅く 逃げる者には 足跡だらけの月明かり
比べるものが悲しいものも この世にあると 月明かり

風は走る 風は走る 今来た道を抱き寄せる
 
悲しみをひとひら かじるごとに子どもは、 
悲しいと言えない大人に育つ
(誘惑)

ふられ ふられて溜息つけば 町は夕暮れ 人並み模様
子守唄など歌われたくて とぎれとぎれのひとり唄歌う
明日は案外うまくいくだろ 慣れてしまえば 慣れたなら
杏(あんず)村から 便りが届く
昨日おまえの誕生日だったよ
(杏村から)

眠り薬をください、私にも、子どもの国へ 帰れるくらい
私は早くここを去りたい できるなら鳥になって

僕はどこへ行くの 夢を泳いで 夢を見ない国を訪ねて

今誰もいない夜の海を 砂の船が行く


こんな宝石のような詩を書く人、その人の名は中島みゆき。
昭和の歌姫として 永く 永く歌い続けている人。
彼女の歌を真剣に聴くようになった今 すごい言葉を紡ぐ人だと驚いている。

そして星のようにまたたくその言葉が 最も美しくfitするメロディを
自ら選んでいる、まさに天才から生まれた、というしかない歌の数々・・・


ずっとジョージ・ウインストンのピアノを聴いていたが、
今は ときどき中島みゆきの切ない歌詞に胸を打たれて なかなか離れられない。
口ずさめる歌は とても心地よい。

それもすべて名曲中の名曲、それも激しい歌ではなく 私の好みの
優しく切なく美しい彼女の唄ばかりを いとこが蒐めてくれたおかげだ。

彼女は 私とほぼ同じ年代で 北海道出身、故郷がいっしょだと
いうことは なんともいえないつながりを感じる。 
まるで 雪の匂いのするこころとからだを 持っているような・・・

彼女の詩(歌詞)については さまざまな人が熱狂し、
本を書いているほど。
なんて魅力的なのだろう・・・この哀しみは。

まさに中島みゆきという歌い手は 哀しみに言葉を与え
メロディとドラマを与える 稀代の魔法使い・・・


そして 哀しい人は 深い人。

足りない人は 与える人・・・
by yuko8739 | 2013-03-19 23:46 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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