ゆうゆうタイム

歌の力「レ・ミゼラブル」

先日、本年度のアカデミー賞授賞式を見ていて、「レ・ミゼラブル」のワンシーンが
何度か放映されて、短いシーンながら 強く私の心を打った。
この映画で アン・ハサウェイが助演女優賞をとった。

私の大好きな映画「英国王のスピーチ」でアカデミー監督賞に輝いた、
イギリス人監督、トム・フーパーの作品。
この映画がもうすぐ終わると知って いてもたってもいられなくなり観に行った。

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1862年(150年前)に 文豪ビクトル・ユゴーが書いたこの作品は、ロマン主義
フランス文学の大河小説で、1個のパンを盗んだために 19年間もの監獄生活を
強いられた ジャン・バルジャンの生涯が描かれている。

小さい頃の寝物語に 父が「ああ無情」というこの本のお話を
布団のなかでしてくれたことを、私は今でも覚えている。
細かいことはもう覚えていないが パンを盗んだために長く牢獄につながれた男の悲劇は、
小さな子どもの胸をも 打つものだった。 

映画は冒頭から、すさまじいスケールと歌声で 観るものを圧倒する!
奴隷のように酷使され、見下げられる囚人たちの群集が大型船の縄を引く。
一場面の歌で語られる ジャン・バルジャンの悲劇と仮釈放。

仮釈放にはなったが、金も仕事もなく 食べるものにも困って
全てに絶望した彼を救い、愛を持って受け入れ、赦し、
生まれ変わるきっかけを与えたのは、教会のミリエル司教だった。
彼は神の愛を信じ 善き人間になることを 壮絶な決意で誓う。
このシーンも 涙なくしては観られない・・・

彼を執拗に追うジャベール(ラッセル・クロウ)警部との確執、スリル、
運命の女性ファンテーヌ(アン・ハサウェイ)と出会い、悲劇のなか 
絶望して亡くなった彼女の娘コゼットを引き取り父となり 
ジャンは 自らの愛のすべてをかけて 小さな娘を育てることに。 

病気の娘のためにと髪を売り 歯を抜き からだを売って金を稼ぐファンテーヌが 
魂のすべてで絶叫するように歌う名曲「夢やぶれて」に、もう 涙がとまらない。

その時代に生まれた不幸、女として生まれた不幸、愛を失う悲劇、娘と会えない苦悩、
助けのない貧しい暮らしの絶望、孤独と不幸、病気。
ひとりの女に こんなに多くの不幸が・・・その歌に 私は泣いた。
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その後、コゼットは美しい娘に育ち、恋をする。
しかし ジャベールに追われて転居を繰り返し、イギリスへ行くことを決めたジャンだが、
1832年6月、パリの下町で革命を志す学生たちが蜂起する事件が勃発、
ジャンやコゼットも この6月暴動へと巻き込まれてゆく・・・


コゼットの愛する若者マリユスも バリケードのなかにいた。
マリユスに悲しい片思いをして 共に行動する娘、エポニーヌ(サマンサ・バークス)は
撃たれて死んでいくが、彼女の心情や歌声が美しく 哀れで深い印象を受けた。
彼女は舞台版でも 同じ役で出ていたらしい。


ジャベールはスパイとして そこにいたが 身分がばれて拘束される。
ジャンは ジャベールを処分するといいながら、空砲を撃ち 彼を逃がす。

負傷したマリユスを助けて ジャンは町を逃げ回り 再びジャベールと
出会うが 彼はジャンを撃てなかった・・・
今まで信じてきた法と正義に引き裂かれ 混乱したジャベールは自殺してしまう。


ジャンはコゼットとマリユスに見守られながら 安らかに亡くなる。
ラスト「民衆の歌」の群集シーンの感動は 歌でしか語られないと思う。
この圧倒的な大団円のシーンに また涙が止まらない。 
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監督は「人を許すことこそが、この映画のテーマの一つです」と語る。
絶望のなか 神を信じることで永遠の愛を得て聖人となった男の物語だった。



キャスト、全てがよかった。
日本人にはミュージカルが苦手な人が多いと思うが、私もそんなに得意ではないが、
(私の映画入門の金字塔「サウンド・オブ・ミュージック」は別格だが)
この作品は そういう人にも ほとんど違和感のないリアルさで迫ると思う。

ミュージカルの完全映画化ということで 全編が歌なのだが 歌はその場で
演技しながら 生録音したという。
ほとばしるような感情が 音楽の魔法で 私たちを強い感動に誘う。

そのときの その思いを 役者たちが渾身の演技と歌声で リアルに表現する。
監督の演出や このやり方を選んだセンスが最高だったと思う。

こころを打つ 音楽=歌の力。
そして 世界的な名作、その物語としてのすばらしさ。
二度とないかもしれない 役者たちの演技のすごさ。

名作の醍醐味を堪能できる 見事な作品だった。
こういう映画を 映画館の大スクリーンで観ることのできる幸せに酔った。

あの哀しい歌「夢やぶれて」・・・
そのメロディが 繰り返し流れて やまない。
by yuko8739 | 2013-03-05 00:25 | 映画 | Trackback | Comments(0)
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