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ゆうゆうタイム

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映画「しあわせのパン」

北海道、月浦。
湖のほとりのパンカフェ
春夏秋冬、 ここちよい暮らし 


大人になって いつも大変で
人生はいつも ちょっとだけ寂しい

だけど  わけあうたびに わかりあえる 
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脚本・監督の三島有紀子さんは10年前から 北海道に惹かれて 映画を作りたいと
望んでいた。
そして 矢野顕子さんと忌野清志郎さんが歌う「ひとつだけ」の歌をイメージして
この映画を作ったという。

「この映画を月の光のような優しい存在にしたい」・・・
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冒頭、古くて居心地のよさそうな図書館で 小さな女の子りえが 一冊の絵本と出会う。
「月とマーニ」男の子、マーニは いつも月といっしょだ。
マーニ太陽をとって いっしょにいると 太陽がまぶしくて」という月に マーニはいう。

「だめだよ 太陽をとったら困っちゃうよ。
だって太陽をとったら君がいなくなっちゃうから。
そしたら夜に道を歩く人が迷っちゃうじゃないか」

「大切なのは 君が照らされていて 
       君が 照らしている
          ということなんだよ」
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この絵本ほ詩のような言葉が なんともすてきで どきどきした。
心に決めた~この絵本を買おう~
後日わかったのだが、この絵本は三島有紀子監督の描き下ろしで、
文庫本「しあわせのパン」の巻末付録となっている。



洞爺湖を望む月浦の自然は 年に数回は 私が出かけて歩く場所・・・
すぐそばには 美しい月浦森林自然公園もある。
あのパン工房にも 何度か訪れている、友達や母と妹と。

パンの原点のような粉と塩と天然酵母だけを使ったパン。
それなのに、いや それだからこそ あんなにおいしいパンができるのか。
そのパン工房が そのまま映画の舞台となった。
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東京で大人になり、疲れてしまったりえさんに 水縞クンは言う。「月浦に行こう」
そこで春夏秋冬・・・と 豊かな自然のなかで 月日は紡がれ 人は出会い、
パンを分け合い 静かに心地よく満たされて 去ってゆく。 

寓話的な物語だが、原田知世の持つ寡黙な透明感と清潔感、そのなかにも
しっかりとした意思を感じる個性が、主人公の理恵さんと見事にフィットしていた。 
そんな妻を見守る水縞クン役の大泉洋も 優しく温かで、落ち着いた夫役を好演。

ガラス作家のヨーコさんの余貴美子や、中村嘉葎雄と渡辺美佐子など 
さすがの演技で 映画を締める。

観ていて この心地よさは ほとんどが「カウンセリング」的なやりとりから生まれたもの
だと私は深く 感じ入った。

相手の言葉を 否定しない。
相手の言葉を 繰り返す。
そして あるがままを 受け入れる。

圧巻だったのは、死を覚悟した老人が 老いていく悲しみを 叫ぶシーン。
「昨日でけたことが 今日はもう でけへんのや!」
その言葉は 胸に突き刺さり 私自身の哀しみと重なった。 

そして 数日滞在した老人が 去っていく前にこう言う。
「人間は変わるものだと 妻を見ていて 気づきました」

そう、そう、生きている限り 人間は変わる、変わり得る・・・
それこそが 生きていく意味、生きていく希望。

カウンセリングの歩みから学んだ 珠玉の言葉や思いが 夜空の星のように
いっぱいに 散りばめられている映画だった。

絵本が ときとして 人生の真実を見事に描き出すように、寓話という形の
表現が最適な「癒しと真実」が ここにあるような気がした・・・


三島有紀子監督:
大阪府出身。18歳からインディーズ映画を撮り始め、大学卒業後、
NHKに入局。「NHKスペシャル」「トップランナー」など、
『人生で突然ふりかかる出来事から受ける、心の痛みと再生』をテーマに
一貫して市井を生きる人々のドキュメンタリー作品を監督。
11年間の在籍を経て、フリーランスに。
以降、助監督をやりながら脚本を書き続け、『刺青〜匂ひ月のごとく〜』(09)で
映画監督デビュー。オリジナル脚本「世界がお前を呼ばないなら」は
09年サンダンスNHK国際映像作家賞で優秀作品選出。
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by yuko8739 | 2012-01-27 10:56 | 映画 | Trackback | Comments(1)
Commented by ご近所メール at 2012-01-27 16:07 x
やっぱり好きな人や恋人とは近くで生活していたい。