先週 仕事で養鶏をしている方に お会いした。
Yahooの地図でも よくわからない場所。
山の奥なので 舗装道路ではなく 砂利道ではパンクが怖くて どきどきした。
雪が解けないと 来られないよと言われたことを 実感する。

砂利の道のあとは 土埃りの道がずっと続く。
どこなのかな・・・家がよくわからず、道沿いの家に住む耳の遠いおじいちゃんに
聞くと 川を越えた向かいだった。
本ワサビが いっぱい自生している 小川を渡ったら一面に野の花、
まるで春の妖精たちが 踊っているようだ。コジマエンレイソウ、カタクリ、
エゾエンゴサク、キクザキイチゲ、キバナノアマナ・・・
そして 野草の楽園は 生き物たちの楽園でもあった。





以前は7頭の犬を飼っていたが 現在は3頭、猫は多い時は40匹以上で今は20数匹。
殺処分される予定だったニホンザルを 遠方から引き受け 数10万円かけて檻などを整備。
今は 親子猿5匹が暮らす。
「猿に芸を仕込もうと思ったけど、忙しくて・・・」とにこにこ。
ひよこは数十羽、卵を産む親鳥はヨーロッパ系のボリスブラウンが200羽以上。
そして、ポニーも2頭いる。



退職した今は 山のなかの楽園で 楽しみながら養鶏をしている。
生き物の世話をしながら 遊びながら 共に暮らす。
牧場だったこの地に 家を建てて 引っ越してきたのが15年前。
以前は公務員で 町のなかに住んでいたという。
公務員をしながらも おいしい卵が食べたくて 鶏も50羽ほど別の土地で飼育していた。
その頃は二つの仕事をしていた、公務員と養鶏と。
それを両立する大変さは・・・? 全くなかったと笑顔。
「朝起きて 鶏の世話ができるのが とにかく楽しみで 寝ていられない。
早起きするのがうれしくて わくわくする」・・・すごい。
とにかく子どもの頃に、自分が暮らしたように 生き物に囲まれて 自給自足の生活を
したかったらしい。医食同源、身土不二、不時不食をモットーにして 健康な鶏を飼うために
あらゆることを実践し、市内3か所に卵を卸す他は、宅配の個人向けだ。
餌は すべて地産地消のものを 自ら手作りする。
穀物や野菜、糠などは近隣の農家からもらい、懇意にしている魚屋さんからは
魚のアラをもらい、自宅に戻って栄養たっぷりの さまざまな餌を作る。
そんな手作りの餌を食べ、広い飼育場で土にまみれて 自由に遊び 幸せな顔の鳥達の
産む卵が まずいわけはない。
生食すると驚きの味!スーパーの卵とは まったく別物だ。
白身にえぐみが全くなくて 黄身はレモン色でコクがあり 濃厚だがさっぱりした味。
これが 本物の味なのか・・・
いつも食べている我が家の卵と なんという違いだろうか。

なだらかな牧草地から 海に沈む真っ赤な夕日を眺めながら 犬とたわむれ
猫とじゃらけ ポニーにまたがり 自然のなかで 好きなように 生きている。
こんな暮らしをしようと思えば できるのだと 私はただ感動していた。
去年の秋には この奥に熊が出たらしい。
自然と近いということは 危険と隣り合わせということだが。
生きものを愛するKさんは とても幸せな顔をしていた。
犬も猫も 鳥も馬も 猿も そしてもちろん猫好きの奥様も とても幸せそうだった。
毎日が自然と共に過ぎていき、喜びそのものなのだと思う。
こんな人生を 選べたかもしれないのだ・・・もしかしたら 私も。
自然のなかで 生き物に囲まれて。
そう思うと なんだか 少し切なかった。
どんな人生でも 意思さえあれば実現できたのかな、今では もう遅いけれど。
体力と同志がいなければ こういう暮らしはできない。
町のなか 周辺の家々に囲まれて暮らす私。
熊は出ないけれど 太平洋に燃える夕日は 家の陰になって見えない。
~今の仕事が終わったら、私Kさんの手伝いに来てもいいですか・・・~
そう言うと Kさんは にこっとした。
かなり本気ですよ、私。
おみやげにと 庭からギョウジャニンニクを採って来てくださった。
鶏小屋の生みたて卵と いっしょに 大事に持って帰った。
その後忙しすぎて 数日間何もできなかったが 今夜はその行者ニンニクを、
醤油漬けにして 味見した。
5月の季節が 私のなかに一瞬で 飛び込んできた!


なんといえばいいのか 高貴な香りが この山菜の特徴だ。
その醤油漬けのギョウジャニンニクに 思いついて 自家製の三升漬けを
(麹と青南蛮と醤油を同量づつ 漬けたもの)混ぜてみた。
一気に 麹の甘さが行者ニンニクを包み込んで、見事なおいしさに息をのんだ。
おいしい・・・ なんておいしい・・・ご飯にかけて 冷奴にも 納豆に混ぜても 最高だ。
半熟卵にもいいかな。
そして・・・たまたま鶏胸肉の蒸し煮(はなまる塩鳥レシピ)を作っていたので
二、三切れ切って できたての薄桃色の柔らかな蒸し鶏に それを乗せて 試食したら・・・
な、なんと 天にも昇るおいしさ!!!



春の 今だけの季節の それぞれの食べ物のおいしさ。
これを幸せといわなくて どうするのだ・・・