あちこちで ふきのとうが眼につきはじめた。
南面の土手や庭の片隅に、浅緑色の春のランプが灯る。
さて、今日は天気がいい。
気温もぐんぐん上がって まさに春の10度越え。
行かなくちゃ!野山を歩きながら ふきのとうを採る。
毎年この時期に その場所に行く。
友だちも行くというので ふたりで出かけた。
行く途中の民家の庭に 黄金色が一面!
驚くほどの福寿草の群生が。
さて車を止めて歩きはじめると 川沿いの道のわきにある、ある。
まだ、道には雪が残っていたが、春の兆しはあちこちに。
川の流れの淵には わさびやバイケイソウもあった。
枯草のなかに、緑色がどんどん増えていく。
うれしい春だなあ・・・
雪のなかで暮しながら この日を夢みていた。
春っていいね、
気持がいいね、こうやって歩くのは
気持が明るく 澄んでくるね
やっぱり春は 最高だね
そんなことを言い合いながら にこにことふきのとうを探す。
けっこう若い柔らかなふきのとうを いっぱい採ってから、
大きな川沿いの公園に 福寿草を見に行った。
見渡す限り、公園のあちこちに福寿草の群落が。
前に来たときには 花よりつぼみが目立っていたが今日は満開!
金色の花たちは うららかな日の光にうっとりと顔を向けて幸せそう・・・
長いトンネルのような冬を抜けて 今こうやって金色の春がやってきた。
ひとつの「祝福」のように。
「約束」のように。
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翌日の夕食に「ふきのとうのエビ詰め揚げ」を作った。
筑前煮やニラのお浸し、わが港産のカレイのから揚げと、いい献立。
やさしいピンク色のエビすり身が甘く。
ふきのとうの強い春の香りに うっとり!
季節のものは とにかくおいしい。
その日の夜、生タケノコを煮ながら 蕗味噌を作った。
ふきのとうの花の部分を取り除き、葉をざく切りにして
塩もみをする。
アクを絞り、水につけて塩気を取る。
水気を絞ってから油で炒めて 自家製味噌や酒、みりん、
砂糖などで好みの味に。
夜中にできたての蕗味噌を味見したら・・・止まらなくなった。
ワインの「あて」にしてみたら 最高!
春とほろ酔いがドッキングして、すてきな時間だった・・・
もちろん、翌朝のご飯の友はふき味噌!
ひと口ごとに 旨い、旨いと唸りながら食べた。
今でなくては食べられないものを、私は愛す。
海や山の神さまからいただく 味覚の春の便り。
大切に 幸せに 味わう・・・
この春に 私は生きている。